今回は合格への主な要素4つ「1.予備校」「2.勉強環境」「3.受験戦略」「4.モチベーション」のうち、その3「受験戦略」の第二回目です。
前回の繰り返しですが、勉強開始時点の土台が下記に挙げる私の主な要素と大きく変わらない方は、1年での完結はまず無理です。諦めてください、ということで、前回は学歴審査と出願州の話を書かせていただきましたが、今回は2~4の主に勉強の基礎となる学力・知識について書きたいと思います。
- 経済学部卒(会計専攻等ではない)
- 簿記2級
- 経理実務の経験なし
- TOEIC600点程度
【会計知識】
大学卒業までは私は会計の勉強はしたことがありませんでしたが、会社に入って簿記は3級→2級と勉強して取得しました。借方・貸方の仕訳だったり、勘定科目といった超基本的なところを含め、知識として獲得したので社会人になってからです。
なのでUSCPAの勉強を始める段階で「大学で会計の勉強を一通りしたことがある」「簿記は持っている」「会社で経理の実務をやっている」という方は、その分、時間は省けると思います。ただし、イメージ的にはFARの20%、BECの20%程度がそれぞれ簿記2級の商業簿記と工業簿記でカバーできる感じ程度だと思っていただきたいところです。
【BECの試験範囲】

まずBECはわかりやすいです。左図はAICPAが公表しているExam sectionの紹介ですが、このうち「Ⅴ.Operations Management」が工業簿記でいうところの個別原価計算・CVP分析、標準原価計算などの管理会計(financial accounting)を含んでおり、BEC全体の15~20%程度の範囲に工業簿記の学力が効くと言えます。
また、私は経済学部でしたので一応、「Ⅱ.ECO」はかなり勉強を省力化できました。ミクロ経済・マクロ経済・金融・為替通貨の基本的な内容になります。恐らく法学部の方とかはREGが取っつきやすいのだろうと思います。
【FAR試験範囲】

FARについては左図のsectionのうち、特に「Ⅰ.Conceptual Framework…」の前提が商業簿記になると言えます。他のsectionにも当然、仕訳や会計の基礎知識は関係してきますので、その意味でFARの全体の20%がカバーできるだろうと書かせていただきます。
ただ、やはりFARは範囲が広く、簿記二級では扱わないキャッシュフローの概念、割引現在価値に絡んだリース会計や退職給付金・社債、税効果会計や連結財務諸表など私も苦しんだ難易度の高い単元も重要論点となりますので、少なくとも上記の言葉が耳慣れない受験生にとっては険しき道であると言えるでしょう。
【英語力】
一方、英語力に関して、少なくとも私のUSCPA開始時のレベルはTOEIC600点でしたので、その水準以上があれば何とかなります。少なくともT社やプロアクティブなど、日本の予備校は授業は日本語ですし、重要なワードは限られますし、実際の試験問題(MC)は一番長くても4~5行ですので、そこまで英語自体で苦労はしませんでした。
とはいえ、英語に連続して長く(2~3時間)触れる体力のようなものは必要ですが、それは勉強していれば自然と養われます。そのおかげもあってか、USCPA合格後に受けたTOEICは765点ということで約150点ほど上がっていました。
と、いうわけで、結論、簿記二級レベルの会計知識やTOEIC600点レベルの英語力から始めても、1年で勉強から試験までを全て完結するというのは至難の業かと思います。私の考える現実的な必要期間として、完全なる主観とお断りした上で下記を記載させていただきます(expireだけはしませんように…)。
【USCPA取得に要する期間(=20~26ヶ月)】
- 予備校選び・学歴審査・不足単位取得等諸手続き: 2ヶ月
- 実際の試験を受ける前のUSCPA勉強一通り : 6ヶ月
- ひと科目ずつ受験(FAR→BEC→REG→AUD) :12~18か月
ということから、もしあなたが「TOEIC600点以下で、経理の仕事をやったこともないし、簿記も持っていない」ということなら、まずベースの学力をそこまで上げてからUSCPAに取り組み、expireしないように2年を目標に集中して片付けに行くべし!、以上が私の考える受験戦略になります。
